2007年6月1日以前に普通自動車免許(以下、普通免許)を取得した場合の、いわゆる古い免許証には「中型車は中型車(8t)に限る」という記載があると思います。
この「中型」とはどのような意味を持ち、また「中型車(8t)」とはどのような車両を指すのでしょうか。
今回は今と昔の中型免許とはどんな免許なのか?それから中型免許の中でも限定されている場合に、4tトラックなどは運転できるのか?それぞれの免許で運転できる車はどんな車なのか?についてを解説いたします。
現在の車の免許の中型免許とは?
「中型免許」とは、普通免許を1年以上保有し、36時間以上の教習を修了した19歳以上の人が取得できる免許です。この免許で運転できる車は、以下の条件を満たす「中型自動車」になります。
- 車両総重量:11トン未満
- 最大積載量:6.5トン未満
- 乗車人数:29人以下
中型免許はいつからあるの?
現在の中型免許は2007年6月2日に導入されました。それに伴い、普通免許で運転できる車両総重量が8トンから5トンに引き下げられました。
しかし、この変更により、2007年6月1日以前に普通免許を取得した人達は、突然8トン未満の車両を運転できなくなるという問題が発生してしまったんですね。
そこで、このトラブルを防ぐために、2007年6月1日以前の古い普通免許を取得した人への対応として、この免許証には「8トン限定中型免許」として、以前通り8トン未満の中型車を運転できるようにする措置が取られました。
そのため、2007年6月1日以前に取得した普通免許を持つ人の免許証には「中型免許」と表示され、「中型車(8t)に限る」との注釈が付いているというわけです。
準中型免許の導入
さらに、2017年3月には道路交通法が改正され、新たに「準中型免許」が導入されました。これにより、準中型免許を持っている人は、車両総重量が7.5トン未満の車両が運転可能になりました。
また、普通免許で運転できる車両総重量が3.5トン未満に変更され、これ以前に取得した普通免許は「5トン限定準中型免許」に変更されています。
また一つ免許の種類が増えたわけですね、ややこしいですが、
2007年6月1日以前に取得した普通免許→「中型車(8t)に限る」
2007年6月1日~2017年3月に取得した普通免許→「5トン限定準中型免許」
ということで、これ以降に取得した免許は普通自動車免許(車両総重量が3.5トン未満の車が運転可)と準中型免許(車両総重量が7.5トン未満の車が運転可)と中型免許(車両総重量が11トン未満の車が運転可)ということになったんですね。
現在の第一種普通自動車免許の種類
現在の第一種普通自動車免許には、以下の種類があります。
- 普通免許(普通自動車免許)
- 対象: 車両総重量3.5トン未満、最大積載量2トン未満、乗車定員10人以下の普通自動車
- 特徴: 最も一般的な免許で、ほとんどの普通乗用車や軽トラックが運転できます。
- 準中型免許
- 対象: 車両総重量が7.5トン未満、最大積載量が4.5トン未満、乗車定員29人以下の準中型自動車
- 特徴: 普通免許よりも大きな車両が運転でき、トラックやバスの運転にも対応しています。
- 中型免許
- 対象: 車両総重量が11トン未満、最大積載量が6.5トン未満、乗車定員29人以下の中型自動車
- 特徴: より大きなトラックやバスの運転が可能で、大型の荷物や乗客を運ぶ際に必要です。
- 大型免許
- 対象: 車両総重量が11トン以上、最大積載量が6.5トン以上、乗車定員が30人以上の大型自動車
- 特徴: 大型トラックや大型バスなど、大きな車両を運転するための免許です。
これに加えて、先ほどからお伝えしているような古い普通免許を取得している人の免許証には「8トン限定中型免許」として、以前通り8トン未満の中型車を運転できる免許として存在しています。
これらの免許は、運転できる車両の大きさや用途に応じて異なります。自分が運転したい車両に合わせて適切な免許を取得することが大切です。
8t限定中型免許で運転できる車両
「8t限定中型免許」で運転できる車両には、車両総重量が8トン未満のトラックや商用車が含まれます。具体的には、最大積載量が6.5トン未満の車、一般的には1tから4tトラックがそれに当たり、そして「ハイエースバン」などの車両総重量が4トン前後の商用車が対象です。
一方で、「8トン車」と呼ばれるトラックは、実際には最大積載量が10トンを超えることが多いため、8t限定中型免許では運転することができません。また、送迎用に使われることが多いマイクロバスも、車両総重量が8トン以下であっても、乗車定員が10人以上のため運転できません。
8t限定中型免許の実際の利用
実は、8t限定中型免許で運転できる車両は意外と限られています。特に5トン限定の準中型免許では、さらに制限が厳しくなります。このように、8t限定中型免許は通常の運転シーンではあまり多く使われることはありませんが、トラックを運転する配送業などでは非常に重要な免許です。
そのため、必要なときに新たに免許を取得する手間が省けるのは大きな利点です。特に業務でトラックを運転する場合には、8t限定中型免許があることで大いに役立つでしょう。
8tの限定解除!
昔、普通自動車免許を取得して、現在は8t限定免許を持っている方にとって、この8tまでという限定解除をすると運転できる車両の幅が一気に広がるメリットがあります。具体的には、中型免許にすると以下のように条件が変わります。
- 車両総重量:8トン未満 → 11トン未満
- 最大積載量:5トン未満 → 6.5トン未満
- 乗車定員:10人以下 → 11人以上29人以下
これにより、例えば29人乗りのマイクロバスを運転することが可能になります。これは、観光バスや送迎業務などで大きな利点になるでしょう。
さらに、解除にかかる時間も比較的短いです。教習所に通ったとしても、必要な時間は以下のようになります。
- 旧普通車MT免許をお持ちの方は、技能5時間で、最短4日間で解除が可能!
- 旧普通車AT限定免許の方でも、技能は9時間で完了します。
短期間で手軽に中型免許が取得でき、今後の仕事や趣味において運転できる車両の選択肢が広がるため、限定解除は大変おすすめです!
一発試験で限定解除はできる?
運転免許試験場での一発試験で限定解除する方もいらっしゃいますが、この選択をする人はあまり多くありません。その理由は、一発試験で合格するのは、練習できない限定解除ではほとんど不可能に近いからです。
確かに、一発試験で合格できる可能性はありますが、多くの場合、何度も試験を受けることになり、その結果、時間がかかってしまいます。そのうち、「指定教習所に通っておけばよかった」と後悔することになりかねません。
指定教習所では、最短で5時間の教習を受けることができ、合宿免許を選べば、なんと3日間で全ての教習を終えることが可能です。このように考えると、教習所を利用する方がリスクが少なく、効率的に限定解除できると言えるでしょう。
まとめ
「8t限定中型免許」は、車両総重量が8トン未満のトラックや商用車を運転するための免許です。これには1tから4tのトラックや4t前後の「ハイエースバン」が含まれますが、最大積載量が10トンを超える「8トン車」や、定員が10人以上のマイクロバスは対象外です。
この免許は一般的な利用シーンではあまり出番が少ないものの、トラックの運転が求められる配送業などでは意外と重宝する免許です。必要な時にも新たに免許を取得する手間がないので、仕事での活用には大変便利な免許です。
ただ、限定解除をして中型免許を取得することで、さらに仕事の幅は大きくひろがりますので、この「8t限定中型免許」を持っている人は一度検討してみてください。