カーシェアリングを利用している皆さんは、最近ジュニアシートが徐々に撤去されていることをご存じでしょうか?
かつては多くのカーシェアサービスで、3歳以上の子どもが使用するジュニアシートが標準で装備されていましたが、2023年以降、タイムズや三井のカーシェア、オリックスなどの大手カーシェア会社では順次このジュニアシートの搭載を終了する動きが見られます。
今回は、なぜジュニアシートがカーシェアから撤去されているのか、その理由と、ジュニアシートに代わって今注目の「スマートキッズベルト」について解説します。
これからカーシェアを利用する際に、小さな子どもと一緒に安全に移動するためのヒントとして、ぜひ参考にしてください。
ジュニアシートの役割と日本の法律
まず、ジュニアシートがそもそもどんな役割を果たしているのかについておさらいしましょう。日本の道路交通法では、6歳未満の子どもが車に乗る際には、チャイルドシートまたはジュニアシートの使用が義務付けられています。
これにより、万が一の事故の際に子どもがシートベルトだけでは十分に保護されない場合でも、より安全に守られる仕組みが整えられています。
ジュニアシートは、3歳から6歳くらいの子どもを対象にしており、通常の車のシートベルトが子どもの体に適切にフィットしない場合に、シートベルトを正しい位置で使用できるように補助する役割を持っています。
しかし、近年ではこのジュニアシートがカーシェアの車両から減少する傾向にあります。
なぜカーシェアからジュニアシートが撤去されている?
ジュニアシートの減少について、タイムズカーにその理由を尋ねてみたところ、国連欧州経済委員会が定める新しいチャイルドシートの安全基準「R129」という基準の日本での導入が関係していることでした。
新基準「R129」とは?
「R129」とは、2023年9月1日から適用された新しいチャイルドシートおよびジュニアシートの安全基準です。従来の基準(R44)では、正面や後方からの衝突に対する安全性が主な考慮事項でしたが、新しいR129では、側面衝突に対しても高い安全基準が求められています。
たとえば、従来の基準(R44)は、サッカーやラグビーなどのスポーツで使う、基本的な防具だと思ってください。正面から来る攻撃(衝突)に対しては十分に守れるけれど、横からの攻撃にはそれほど備えていない状態です。
新しい基準R129は、スポーツ防具が進化したようなもので、たとえば、頭や胸だけを守る防具から、側面や後ろも含めて全身を守れるようになった最新の防具のように、横からの衝突や複雑な事故にも対応できる設計がされています。
つまり、どんな方向からの衝撃でもしっかりと守るように改良されたのがR129というわけです。
また、R129ではシートのサイズが大きくなり、側面の保護機能が強化されています。このため、カーシェアで使用される車両によっては、トランクに収めることが難しい状況が生まれてしまいました。さらには、旧基準のジュニアシートは生産が終了しており、今後の調達が困難になったことも要因の一つです。
タイムズカーシェア公式サイトのよくある質問にも画像のような記載があります。
これらの理由から、タイムズカーなどの大手カーシェア企業は、2023年9月以降に新たに配備する車両にはジュニアシートを搭載しないことを決定しました。
ジュニアシートがなくても大丈夫!「スマートキッズベルト」とは
では、ジュニアシートがなくなったら、小さな子どもと一緒にカーシェアを利用する際にどうすればいいのでしょうか?自分で新基準に適合したジュニアシートを購入して、車を利用するたびに持ち込む必要があるのでしょうか?そんな時におすすめなのが、「スマートキッズベルト」です。
スマートキッズベルトの特徴
スマートキッズベルトは、従来の大きなジュニアシートに代わる軽量でコンパクトなシートベルト補助具です。
子どもがシートベルトを正しい位置で安全に装着できるようサポートします。一般的なジュニアシートに比べて非常に小型で、バッグや車のダッシュボードに簡単に収納できるのが大きな特徴です。
さらに、スマートキッズベルトは既存のシートベルトに取り付けるだけで使用でき、取り付け方も非常にシンプル。短時間で準備ができるため、カーシェアやタクシーなど、短期間の利用にも最適です。小さなポーチに収まるため、持ち運びも簡単で、特に旅行や急な外出時にも便利です。
スマートキッズベルトの安全性
スマートキッズベルトは、日本の道路交通法にも適合しており、6歳未満の子どもにも使用が認められています。法律上も問題なく使用できるため、ジュニアシートがない場合でも安心して利用できます。
ただし、これはあくまでシートベルトの補助具であり、従来のジュニアシートほどの全面的な保護力はありません。そのため、長距離移動や高速道路での使用時には、ジュニアシートやチャイルドシートの利用を推奨します。
スマートキッズベルトを使う際の注意点
スマートキッズベルトは便利で安全性の高いアイテムですが、いくつか注意点もあります。
- 車種との相性
スマートキッズベルトは、ほとんどの車種に対応していますが、一部の車両ではシートベルトの取り付け位置やシートの形状によっては使用が難しい場合もあります。初めて使用する際には、しっかりと安全に装着できるかどうかを確認しましょう。 - 適切な取り付け
取り付けは非常に簡単ですが、正しく装着しないと十分な効果が得られません。ベルトが子どもの肩や腰にしっかりフィットするように調整することが重要です。 - 短時間利用に向いている
スマートキッズベルトは軽量で便利ですが、長距離移動や高速走行には従来のジュニアシートの方がより安全です。特に小さな子どもを乗せる場合は、シーンに応じて適切な座席補助具を選びましょう。
カーシェアでのスマートキッズベルトの利用方法
カーシェアは、日常の買い物や子どもの送り迎え、家族でのちょっとした外出など、さまざまなシチュエーションで便利に利用できます。その際にスマートキッズベルトを活用することで、子どもとの移動もより安全かつ快適になります。
たとえば、急に車が必要になった時や、旅行先でレンタカーを利用する際にも、重いジュニアシートを持ち運ぶ必要がなく、スマートキッズベルトがあればスムーズに対応できます。
また、家族や友人と車をシェアする際にも、コンパクトなスマートキッズベルトなら、気軽に持っていける上に、トランクの場所を取らずに済むため、荷物の積載スペースも確保できるでしょう。
まとめ:スマートキッズベルトで快適なカーシェア体験を
カーシェアでジュニアシートが減少する中、スマートキッズベルトはその代替として非常に便利なアイテムです。軽量で持ち運びやすく、シンプルな取り付け方法で、子どもの安全を確保しながらも、カーシェアの利便性を損なわない点が大きなメリットです。
ただし、スマートキッズベルトはあくまで補助具であり、状況によっては従来のジュニアシートやチャイルドシートを選ぶことが推奨される場面もあります。安全に快適なカーシェア体験を楽しむために、各家庭のニーズに合った最適な選択を心がけましょう。
これからカーシェアを利用する際には、ぜひスマートキッズベルトを活用して、子どもとの移動をもっと楽に、もっと安全にしてみてはいかがでしょうか。